木 工 作 品
     木工を再開したいきさつ  
     
  BQコンロの敷板  2023/4    
 

 
以前の敷板
 


木表の方が綺麗な木目でしたが、
板の反りを考慮して木裏を上面にしました
 同居の次男家族からBQに招ばれました。折り畳みのテーブルに直接コンロを置けないので、集成材の端材を敷板にしていました。BQコンロなので当然汚れていたし、コンロが重く、テーブルの継目の凸部によって割れていました。
 代わりの敷板を作ろうと、材木置場を探したら、丁度良いサイズの板がありました。義父が建てた家の床間の違い棚に使われていた、虎目杢(トラメモク)の栃の木で、今では手に入り難い銘木です。敷板にするのは木が可哀想に思え、一瞬躊躇しました。しかし、義父は宴が好きな人でした。孫やひ孫が親しい人と集う宴に役立つならきっと喜んでくれるに違いない。そう思うと「よし、この木に恥ずかしくない細工をしよう!」との気持ちが湧き上がりました。最初の課題は板を正確に平坦にすることです。ガラスの厚板一面に水性マジックを塗り、その上で板を擦り合わせ、板にマジックが付いた所をカンナで削ることを繰り返す方法で、カンナの刃を研ぎながら根気よく作業を続けました。最難の課題はコンロの脚が収まる凹穴を彫ることでした。4本の脚の位置が重量と温度でバラバラに狂っていました。そのままの脚の位置で凹穴を彫れば、簡単ですが、反対には置けません。どちらの方向に置いても収まるような凹穴の位置と形と大きさはどうするか?若い頃なら紙上で1時間もあれば結論を得たと思いますが、思考が堂々巡りをして結論がでません。台の上に実際に2方向に置いてみて形を模ったのが「脚位置図」で、それを板に写し取ってトリマーで彫りました。「国夫(義父)さん!孫やひ孫たちの集いを見守ってやって下さい」 

 
脚位置図
2方向で置いた時の脚の位置
 


コンロをセット
 
 
     
     
   材木置場の製作  2022/12   
 
 
powerpointの図面
 

ステンレスの架台

 材木が物置の半分を占有していたので、物置を空けるために材木置場を造ることにしました。私の残された年数で使い切れる量を遥かに越える在庫です。処分するのが当然の手段ですが、人様から頂いた木材が大半で、心理状態を上手く説明できませんが、処分する気持ちになれませんでした。かと言って置場造りに手間のかかるのは避けたいので、簡単な工法を色々と考えた結果、義父の園芸用の架台が残っていたので、それを骨格にすることにしました。サイズはL:2m B:90 cm H:90cmで40mmのステンレスの山形鋼を溶接して造られていました。その上に材木で屋根を組み、ガルバの波板を張り、内部に桟を組み、周囲をポリカで囲み、材木を取り出すために、その内の半分は扉にする構造です。扉は色々な方法を図を描いて、結局、持ち上げて外す構造にしました。
 従来、図面はJW-CADを使っていましたが、PowerPointで描きました。これは思いのほか快適でした。図形のサイズは0.1mm単位で設定出来るので、1/10の縮尺では1mm単位で表現できます。上下・左右・中心に揃える機能を使って画面上で長方形を組み合わせます。部材を組立る構造のものに適しています。ただ寸法を入れるのはCADの様には出来ず、←→線とテキストボックスで追加する必要があります。レイヤーはありませんが、スライドマスターを基本レイヤーとして使えます、例えば、部屋の間取り図をスライドマスターに描き、それぞれのスライドで家具の置き方の案をその上で作成ことがです。今回は、スライドマスターに架台を描き、色々な構造案を検討しました。正確なサイズに印刷するには、net情報が参考になりました。完成後、購入して残っていた材木は処分し、頂いた材木に限定して何とかギリギリ収まりました。
 
 
 

木組み
 

完成
     
      
    譜面台の製作  2021/6  
   
 

全部品 塗装前

 長女から娘に譜面台を造ってやって欲しいと数年前に頼まれ、設計図を描き材料を切出したものの、着手できず延び延びになっていました。理由は加工精度に自信がなかったことです。しかしこのままでは後悔すると思い、できるかどうか分からないが兎に角やってみようと決断しました。途中で何度も失敗とやり直しを繰り返しましたが、その度にハッとするアイデアがヒラメキ、それが楽しくなりドンドンとのめり込み、寝ていてフッとアイデアが浮かぶと朝の5時に工作室に行くこともありました。おかげさまで沢山の知恵が身に付き、木工の実力が格段に上がりました。感謝です。

 材料は80年ほど前に入浜式塩田で使用されていた桜の板です。親類の人からもらった素晴らしい木目の板ですが、使うことなく眠っていました。これを活かすことができたのも嬉しいことの一つです。

 難しかったのは、キャシャな造りで強度を持たせることでした。 筒は構造図のように溝を切って組みました。そこに入るY型の軸は年月が経つと歪が出て筒とシックリ合わなくなるのを防ぐため、桜の厚板から材料を取りをするのに、鋸を使わず、鉈とくさびで割って材料を取り出しました。そのため繊維が上から下まで切れずに繋がっています。その一本の材料からY軸を削りだしました。またその軸が筒の中でシックリと動くようにするのも一苦労でした。筒と軸が当たる部分を探してはヤスリで削る、凄く根気の要る作業でした。お陰で軸を筒に差し込み手を離すと、スーッと何秒かかかってコツンと底につく状態に仕上がりました。譜面置き板の四隅はアラレ組にしました。意外なところで苦労したのは譜面押さえのレバーです。上げたとき、譜面に近づく方向に上がるようにすることです。そのためにレバーの収納溝を面板寄りに傾斜させて彫ることでした。また上げたレバーが途中で止まるようにバネで押さえるようにしました。脚はアリ溝で組みました。譜面板と軸を自在に固定するボルトのレバー、高さ調整のピン頭、筒と脚を固定するネジ頭などの小物も全て自作しました。バネ、ピン、ネジなどの金属類はステンレスに拘りました。

 視力の低下が大きな障壁でしたが、何とか完成しました。今までの作品の中で一番良くできました。一番良いものがこの年でできたことは大変うれしく誇らしく思いました。家内と夕食の時「80才のころ何してた?ともし聞かれることがあったら、キット譜面台造ってた、言うやろなぁ」と談笑し、充実した月日であったことをうれしく思いました。

 翌日、孫娘から泣きながら礼の言葉をビデオ電話で貰い、凄くうれしかったです。そしてチャレンジさせてくれお礼を述べ電話を終えました。

  
 

譜面置き板
 
筒の構造
 

脚を底から


軸と筒 
 
     
     
   工作室のリニューアル  2020/3  
   

東南面 Before
 

東南面 After
 
 
   

西面中壁 Before
 

西面中壁 After

 工作室を改装しました。元は、義父が農具などを置いていたトタン囲いの物置小屋(上図 4mx6m)でした。柱に不安があったので、柱間を構造用合板で補強して、内装に取り掛かかりました。40年ほど経っていたので柱の並びが狂っていて、下地材で平面を出すのに手間取りました。床は土場だったので床をはりました。すると、天井がただでさえ低いのに一層低くなってしまい、それをどう上げるかが苦心のしどころでした。天井を屋根に沿った傾斜にして露出する梁を囲うことにしました。窓が無かったので東壁に2カ所と南面に小さな窓をつけました。西面中壁の上に、以前風呂場で使っていた防滴スピーカーを取り付け、ラジオなどを聞いています。 5Sの重要性を実感しています。80才近くなると道具を探している回数と時間は相当なもので、5Sなかりせば仕事にならないように思います。最近、モノを持ったまま作業をしていることが多くなりました。それを手から離すと何処かへ行ってしまう不安からでしょう(笑)。 工作室も完成したので、いよいよ作品作りに取り掛からねばなりません。何年も前に約束したものの難しくて中断したり、そのうち・そのうちと思いながらずるずると今になってしまったり、未だできていないものがかなりあります。チョット気が重いです。

 
   

北東面 Before
 

北東面 After
 
   
 
 
 
 
休息場所 2019/6
 
解体中の温室
 
  義父が建てた100uの温室の老朽化が始まっていたので解体してもらいました。当然その跡地に雑草が生え出し、さてどうしたものかと思案。
村の皆さんの散歩道に面しているので、休憩いただく場所を造ることにしました。土木作業は初めての経験でした。土間は水をかけると固まる土(まさ王)にしました。そのために周囲を縁石で囲むことになりました。2%の水勾配をつけ、テーブルとベンチは水平にしようとすると、テーブルとベンチには基礎が必要になりました。道から入り易くするのに飛び石を置き、殺風景なら座っていただけないので、周りにサツキを植えました。テーブルの天板は義父の居宅の玄関にあった大理石の沓脱石を解体時に取って置いたものです。テーブルの脚とベンチは最も耐久性がある木材と言われているイペを調達しました。比重は1.0を超える超硬木なので加工には手間取りました。昨年秋に始め、進むにつれドンドンと工事がエスカレートしました。夏に座ってもらうためにパラソルを立てることになり、大理石に穴をあけました。これでやっと終わりです。

大理石の運搬や固まる土の施工は、私達老夫婦には流石に無理で、同居の次男夫婦に手伝ってもらって、おかげ様でやっとでき上がりました。

6月に一応完成しましたが、炎天下ではとても座ってもらえそうにありませので、パラソルを設置し
「どうぞご自由にお休み下さい」と 札を立てました。
 
  
 ゴム鉄砲  2017/10



  孫にゴム鉄砲を作ってやりました。昔し、割箸を輪ゴムで留めて作りましたが構造が思いだせず、ネットで調べました。するとそこには広大な世界がありました。日本ゴム銃射撃協会なるものがあり競技会も開かれていて、銃はリアルなものや連発式、小さなものから1m程のものなど見きれない程ありました。割り箸で作ろうと思ってた気持ちはどこへやら、気候も良くなったので作ってみるか!と桜材を切り出しました。 設計図はNetで競技用として公開されていたのを使わせてもらいました。 
 
 TV台  2017/4  長さは2mx40cm t:30mmです。安くしたかったのでゴムの木の集成材を使いました。ウオールナット色のウレタンスプレーで塗装したら集成材のブロックが目立ち、汚い仕上げになり大失敗。剥離するの3日かかりました。次はウレタンのクリアーの上にウオルナット色を吹きました。一見、集成材には見えなくなり、成功! 天板とタテ板はダボでつないでいるだけでシッカリと安定してます。しかし重くて一人では動かせなくなってしまいました。
 

 
孫の学習机3台目  2017/5  


引出しのアラレ組は、檜の小口にオイルが
浸み込みクッキリした模様にはなりませんでした。
でもこれの方が落ち着きがあるかな?
 

全体に少し丸味を持たせました
  次男の息子の机。まだ3歳なので使うのは数年先ですが2台目と同時に手掛けました。脚は桜で、原木から厚板に製材する場に次男も居たのですが低学年だったので記憶には無いようです。幕板の外側は桜で内側は檜です。引出しの側板も檜です。 次男の祖父が家を建てる時にこだわった柱材です。家を解体した時に取り置いていました。年輪間隔は1mm程度で、今では入手し難い銘木です。次男が3歳くらいのころ、祖父は彼を連れて喫茶店⇒動物園⇒パチンコ店を巡るのを日課にしていました。次男がパチンコをしないのはその時に飽きるほど経験したからかもしれません。
 この度、ひ孫まで引き継がれた木材を使うことができました。いろいろな人の思いがこもった木材で作ることができました。
 

引き出しの側板は檜です
側面から見るとコントラストが明瞭ですが
前から見ると上図の通りです。
 

天板の伸縮対策は天板と
幕板をコマ止めにしました

 
 
孫の学習机2台目  2017/5 

設計図
 

 長男の娘の机。長男は工業デザイナーなので彼が設計しました。彼が小学生の頃、私の職場の先輩で住職もされていた方の山へ彼と次男を連れて伺いました。その時に桜を伐採して製材所で板にして頂きました。彼は帯鋸盤の鋸刃がエンドレスで出てくるのを不思議に思い「あの刃は何処から出てくるの?」と聞いたのを思い出します。写真はその時の桜材でこの机の脚になっています。幕板と引出しは入浜式塩田で使われていた桜材でこれも頂いたものです。引出しはA3が入る大きなサイズで四方がアラレ組の設計でした。難題は、引出しの前板が傾斜しているので、ネジレがでないようにルーターでアラレ加工する方法が思い浮ばず一時中断しました。ある日フト、2枚の前板を両面テープで仮止めして加工する方法を思いつき難問は解消しました。引出しの組立加工は厚い板ガラス上でネジレをチェックしながら行いました。天板は無垢のブラックチェリーでオイル仕上げです。天板の伸縮を考慮した構造にするために引出しの桟板と天板が数ミリ動くような工夫が必要でした。塗装は彼がしました。
 思い出深い材料で、親子合作で孫に引き渡せる机ができたことを大変嬉しく思いました。材木を頂いた方々に感謝します。多くの人の思いがこもったこの机はきっと孫娘を見守ってくれると思います。


35年ほど前に製材した桜材 t:60mm
脚になりました

 
A3が入る引出し 
 

私の作品より構造がシンプルでスッキリしたフォルムに仕上がりました。
私もデザインには少し自信はあったのですが本職との差を認めざるを得ませんでした。

 
 ベッドのリフォーム 2017/3
 バラバラにして塗装を剥がした板と
新作の脚  材木は洋材です



ミルキーホワイトのラッカー仕上げ




脚と側板のつなぎはチョット凝った仕口です 
 もともとは長女(容子)が小学生の頃だから35年以上前に作ったものです。
 ヘッドボードはYookoの文字と四葉のクローバが透かし彫りにしてあり、脚とフレームの接合部は手の込んだ造りになっています。次男の娘(10才)がそれを大変気に入ってくれたのでリメイクすることにしました。孫娘の名前を追加して彫り込むデザインをいろいろ考えましたがどうしてもバランスが悪くなるのが避けられず諦め、そのまま使うことにしました。
 接合部は全てバラして塗装をハガし、脚は作り直しました。思いのほか日数がかかってしまいました。新品同様に生まれ変わったベッドを見て孫娘が「容子おばちゃん キレイに使ったんやなぁ~」と言ったのにはズッコケそうになりました。
 久し振りに長女(Yooko)が帰省し、自分のベッドが姪に引き継がれたことを喜んでくれました。作品が世代を超えて引き継がれ、喜ぶ人が増えたことを嬉しく思いました。


 
 
箸と箸置き 2014/7
 学習机で使った桜の残材が沢山出たので、勿体ないので製作しました。
◆箸
 長年使っても曲がらないように、材料をナタで裂き、それを手ガンナで加工しました。手間がかかり、材料歩留りは30%程度でした。
◆箸置き
 加工の順序がまずく、凹部はノミ→鬼目ヤスリ→ペーパーがけ(#60#120#280)と散々手間がかかってしまい、そのうえ寸法のバラツキが大きく、形が若干不揃いになってしまいました。
 ナタで材料を割くと、左図のように使えない材料がたくさん出ました。ここまでする必要があったのか? 今になって思うと自己満足のようにも思います。仕上げは蜜蝋です。
追記:今2018年です。4年使ってますが少しも曲がっていません。やはり裂いた
材料は狂いません。法隆寺の柱が狂わないのが理解できました。レベルが違い過ぎますが・・・。


ナタで裂いた桜材。上手く裂けず10本のうち
1〜2本しか使える形になりませんでした
 
 初めて製作した孫の学習机  2014/6
  次男の娘の机
◆サイズ
 1000x600xh750mm  天板厚30mm
◆塗装
 グロスクリアのオイル仕上げ
◆材料
天板はブラックチェリーのハギ板で購入品です。
脚は35年ほど前に、山寺の住職をされていた先輩の山の桜を伐採して60mmの板に製材したものです。幕板は70年以上前に入浜式塩田で砂を寄せ集めるために使われていた宮崎産の桜の板です。厚みは異形ですが、無節で素晴らしい木目です。  引出しの側板はヒノキ。底は天井板だった無垢の杉板です。
◆デザイン
シンプルなものが望まれていたので、天板、幕板、脚のそれぞれに傾斜をつけ統一感を出してみました。初めてにしては良くできたと思っています。